今日は、いつも何かしらの方法で見続けているＮＨＫ大河ドラマ“宮本武蔵”を必ず見なければならない！なぜならば、佐々木小次郎と宮本武蔵が戦うのだ。そう！巌流島（山口県下関市彦島沖にある小島）の決闘なんだな。どのような思いで２人が闘いに臨んだのかは、はかり知れないが、やはりこれも運命だったのだろうと空想しながら、昨日からタイピングしている日記作業を続けつつ、旅の疲れを癒やしながら民宿“やよい”さんの一室でPM８：００になるのを待つのであった。
民宿“やよい”さんは、気の良いおばさんとおじさんが経営するアットホームな民宿で、「お風呂、おじさんが出たら入ってねー」といった感じの、下宿感覚な宿なんだな。おばさんは風呂から出たオイラに、「沢山作ったからおすそ分け」と言って、巻き寿司（ゴボウや人参が入っているぞ）をくれたんだな。嬉しかったんだな。オイラは、始まったＮＨＫ大河ドラマを見ながら美味い美味いと感激しつつ、巻き寿司を頬張ったんだな。

明浜町宮之浦の民宿“やよい”のおばさんとおじさん

チェックアウトのＡＭ１０：００ぎりぎりまで日記をタイピングし、宿のおじさんにお礼を言ってから旅立ったオイラは、エメラルドグリーンというよりはエメラルドブルー色に透き通 った綺麗な海（釣りがしたい！）と雰囲気の良い小さな漁港、絶壁の山肌に段々で植えてあるみかん畑（すごい！）にまだ青い果 実を見ながら、気持ちよく宇和島まで走ったんだな。
PM３：００宇和島市に入ったオイラは、前タイヤの辺りから「ゴッ・・・ゴッ・・・ゴッ・・・」と異音がするのに気が付いた。音が段々と大きくなってきたので、自転車から降りて調べたオイラは、信じられない物を見てしまったんだな。なんと！金属（アルミ合金？）で出来たリム（車輪）の左面 一部が裂けて、外側に曲がった部分がブレーキに当たって音を立てていたのである。
・・・・・・・・オイラは青ざめた。考えろぉ！考えろぉ！う〜んう〜ん・・・考えろぉ・・・・と、少し頭を冷やす為に日陰に入って休みながら考えた。・・・多分、リームは取り寄せになるだろうから３〜４日くらいここ宇和島に根を下ろして、激的に溜まった日記のタイピングをしよう！そうしよう！！という結論に達したんだな。
まずオイラは、ベースキャンプを国道５６号線沿いにある和霊神社の公園に決めた。ここには近くの高校からダンスやＢＭＸの練習にくる学生さんが遅くまでいるみたいだが、宇和島駅や商店街が近くにあり、屋根のある休憩所が多数配置されているので、ベースにはうってつけの場所なんだな。次に、この近くの自転車屋をインターネットで探そうとベンチに腰掛けた時、一人の男性が「どうしたの？」と近づいて来た。事情を説明すると、その人はこの辺りの事はよく知っているので、「自転車屋を案内してげるぅ」とオイラを近くの自転車屋まで連れて行ってくれたんだな。どうやら地元の親切なお兄さんみたいなんだな。助かったぁ。
自転車屋さんは駅の裏にあった。奥から出てきたお店のお兄さんにリムの事を話すと、「取り寄せ出来ますよ、でも店長が外出していてよくわからないので自転車は置いていってください」と、答えが帰って来た。オイラは、よかった！一軒目で解決してしまったんだなと感激しつつ、携帯電話番号を書いた紙を渡して、「わかったら電話をください。また後で寄ります」と、自転車屋さんを後にしたんだな。
公園であった親切なお兄さんは、オイラの事をカッコイイねとしきりに褒めながら「よかったねぇ。じゃあこの辺りを案内してあげるぅ」と、何処のスーパーが安いとかここに銭湯があるとか街の中を色々案内して廻ってくれたんだな。お兄さんと別 れたオイラは、ＰＭ４：００頃にもう一度自転車屋さんを訪ねてみた。するとまだ店長が帰ってきていないからわからないという事だったので、お店の閉店時間を聞き、「じゃあ、またその頃に来ます」と、公園に戻って夕食の買い出しと教えてもらった銭湯で風呂に入って時間を潰して、教えてもらった閉店の１５分前くらいにお店を訪ねてみた。
「・・・・・・・・・・・・・・・はっ！、・・・な、なんじゃこりゃぁ！！」オイラは自転車屋さんの前で絶句した。シャッターが閉められていたのだ。自転車には野営セット等を積んだままなので、このままでは大変な事になってしまうんだな。しかし、店の周りを４周くらいして他の入り口を探してみたがシャッター以外の入り口が見当たらないし、シャッターを何度か叩いて穴から呼んでみたが反応も無い。電話ＢＯＸで番号を調べて店の前で３０分くらい掛け続けてみたが、シャッターの向こうからむなしい呼び出し音が聞こえてくるだけだったんだな。・・・トホホホホ。
仕方なく公園へ戻ったオイラは、青森県から歩いて旅をしているおじさんに出会った。おじさんは旅の途中で脳の病気になって倒れ、半身不随となったが、リハビリをして足を引き摺りながら旅を続けている凄い人で、事情を説明すると使っていない服をあげるよと、昔、息子さんが着ていたという服をバックパックから出して、オイラにくれたんだな。捨てる神あれば拾う神ありとはこの事なんだな。オイラはもらった服を着込んで、おじさんの隣のベンチで寝る事にしたんだな。

明浜町宮之浦の民宿“やよい”さん・公園で出会った放浪中のおじさん・公園で出会った男が好きなお兄さん

さ、寒い・・・、寒くて寝れないんだな・・・、隣で寝ている親切なおじさんがくれた服を着ても、風の吹き抜ける公園のベンチでは、やはり眠る事が出来なかったんだな。ああ、朝が来れば、この事態を引き起こした駅裏の自転車屋さんに真相を聞きにいける、オイラの野営セットを搭載した自転車を取り戻せる・・・、ぁぁ、さささ寒ぃ・・・と、虚ろな意識の中、だんだん白みかけてくる空を見上げたんだな。
AM８：００、オイラはまだ開いていないお店の前にあぐらをかき、店員さんを待った。AM８：１５、昨日のお兄さんが現れた。「昨日、夜の７時過ぎまでお店は開けていると言いましたよね」とオイラは確認した。「ああ、店長が帰ってこなかったし、用事があったので早く閉めて帰りました」と、店員さんはしれっと答えた。電話番号は教えていたし、日本放浪中で野宿をする事は伝えた、閉店間際にもう一度お伺いしますともはっきりと答えたはず・・・、オイラは呆然とした。「・・・で、店長さんに取り寄せの確認は取れたんですか？」とオイラは追認した。「まだとれてません、もう少ししたら店長が来ますので〜」と、お兄さんが答えた瞬間に、「すいませんがキャンセルしてください。他の店を当たります」と、強引に自転車を奪還して走り去ったんだな。ああ、なんてこったい。１日寒くて眠れない思いをしただけだったんだな。・・・・でも、ま、いいか！これも修行、あれも修行、その代わり青森から徒歩で旅をしているおじさんと仲良くなれたじゃないか！と、切り替え、信頼のおけそうな自転車屋さんを電話ＢＯＸの電話帳で探すのであった。
電話帳に大きくプロショップと載っていたサイクル『プロ』ショップ“オオツカ”さんに電話をしてみた。すると、即座に「そのリムなら在庫がありますよ」と答えてくれたんだな。おお、この自転車屋さんだったら信用出来るだろうとお店を探してみると、ベースキャンプのある和霊神社公園から少し離れた宇和島城近くで、街に溶け込むようにして建っているお店を発見したんだな。
オイラはオーナーのオオツカさんに事情を説明し、プロの仕事も見てみたかったので、リムの交換する所を見学したいのですがと聞いてみた。すると、「当然っ！４０分ほどかかるからそこに座って見ていなさい」と言ってくれたのだ。さすがプロなんだな。オイラに、リムの交換を見せつつ手さばきと口さばきで色々な事を教えてくれたんだな。中でも、チューブを痛める可能性のあるヘラを使わずに、手でタイヤをはずしたりはめたりする方法は、直ぐにでも使える技だったんだな。
プロ根性や商品・サービスを売る事の考え方等、色々な事を教えてもらったオイラは、オート変速機（ＡＴ）付き自転車の試乗までさせてもらったんだな。そんな宇和島の楽しいサイクルプロショップが気になったあなたは、こちらのアドレス【http://www2.netwave.or.jp/~ohtuka/】で、ホームページを見る事が出来ますので、覗いて見てくださいなんだな。
自転車は直ったけれど、予定通りに日記をタイピングしようと公園に戻ったオイラは、和霊神社の境内に電源の取れる休憩所を発見した。ラッキーなんだな。明日から雨が降るらしいし、２日くらいここで日記漬けになろう！と、作業していると、昨日の親切なお兄さんがやって来た。やはり、お兄さんはカッコイイねぇとオイラの体をペタペタ触ってきた。「ごめんなさい、そんな気はありませんので！」と強く言うと、お兄さんは何処かへ行ってしまったんだな。 ・・・お兄さん、親切に街の中を案内してくれてありがとうございました。

公園で出会った放浪中のおじさん・公園で出会った男好きなお兄さん・サイクルプロショップ“オオツカ”さん

今日は、やはり雨なので、公園の屋根付きベンチと昨日から使わせていただいている、和霊神社の休憩所（お賽銭を１００円くらい入れてから電源を使わせてもらうのだ！）で、一日中日記をタイピングする事にしたんだな。
ガシガシガシガシ、しとしとしとしと、ガシガシガシガシ、しとしとしとしと、しかし、よく降る雨だなあ・・・。明日は本当に晴れるのかなあ？と天気を疑いつつ、また日記を書き続けるのであった。
急速に光を失った空と大地が闇に包まれる頃、食料の買い出しから帰ったオイラは、いつもの公園の屋根付きベンチの一つに、カラになった２�Pの酒パックを二本転がしたおじさんが寝ているのに気が付いた。向かいのベンチに腰掛けて夕食を食べていると、起きたおじさんが喋りかけてきたが、ろれつが回っていない為に何を言っているのか分からないんだな。でも、どうやらここで寝るという事らしく、早速寝始めたおじさんは、１０分もしないうちに寝言とも本気とも分からないような怒鳴り声を上げ始めた。「うるせー！どこかに行けやっ！むにゃむにゃむにゃ！」と、いった感じの言葉を１０分ごとに何度も何度も叫ぶのである。しかし、そんなおじさんも実は良い人だったのだ、一度起きて何処かへ行っていたかと思うと、バラ寿司と酒を持って来た。そして、酒を飲みながら食べていたバラ寿司の残りをオイラにくれたのだ！おじさんのろれつが回っていない話しを聞きながらありがたくバラ寿しをいただいたオイラを最後まで見て、おじさんはおもむろに停めてあった自分の自転車に乗り、慣れた足取りでフラフラと何処かへ走り去っていったんだな。人生の重みを感じる不思議なおじさんだったんだな。
ああ、５月１０日から始まった旅も残り１ヶ月をきってしまったんだなぁ。早いものなんだなぁ・・・

今日は晴天なんだな。AM１１：００まで和霊神社公園のベンチで日記を書いたオイラは、高知県の中村市に向けて自転車を走らせた。思えば、宇和島の街は昭和の古い匂いがして、懐かしい気持にさせてくれる街だったんだな。弁当も２００〜３００円で店先に並べて売っているし、沖縄と一緒で、個人商店で消費税を取るお店はあまりないんだな。値段に含めているのかな？なんだか物価も雰囲気も昭和に戻った感じがしたんだな。人も暖かかったし、いい街だったんだな。
オイラは国道５６号線を高知県の宿毛（すくも）市経由で中村市まで走った。宇和島の公園で会ったおじさんの話しによると、宿毛（すくも）とは、旅人に毛が生えてくるくらい宿に長居して しまうので付いた地名だというのだ。そんな居心地の良さそうな場所や、起伏にとんだ山の中を沢山のお遍路さんとすれ違いながら走り、夕方にやっとのことで中村市に付いたんだな。
しかし、老若男女を問わず沢山のお遍路さんが歩いているのだが、どうやら遍路道の順番の逆周りでオイラは走っているらしく、皆さんとよくすれ違うんだな。そういえば、少し前に“死国”という逆遍路をして死人を生き返らせるといった類の映画があったんだな・・・。
四万十川を越えて、国民年金保養センターで温泉に入ったオイラは、休憩所で日記をタイピングしてから、少し走った場所に架かるうしろ川の橋の下で野営する事にしたんだな。

四万十川の隣にある川、“うしろ川”の橋下にテントを張ったオイラは、AM９：３０まで日記を書き、坂本竜馬で有名な高知市の桂浜に向けて走り出した。しかし、四国に入ってずっと思っていたのだが、凄く走りやすいんだな。オイラが走ってきた他県の歩道敷設率が平均７０％くらいに対し、四国は９０％くらい敷設されているんだな。やはり、昔から多くのお遍路さんが歩いてくれているおかげなのかな？歩道使用者にとって天国のような場所になっているんだな。しかし、坂道の多い四国路を走る大量 の車達が、大気中に沢山の排気ガスを撒き散らし、換気マシーンの無い各トンネルを毒ガストンネルに作り変え、歩道使用者達の肺をどんどんガンの危険にさらし、海岸線特有であるクネクネ道プラス連続するアップダウンが、容赦なく老齢化したオイラの体力を吸い取っていくんだな。
夜になってしまったが、そんなフガフガ状態でなんとか桂浜近くまで辿り着いたオイラは、残りのエネルギーで国民宿舎のある最後の坂を越せそうに無かったので、諦めてお墓の横にあるバス停の屋根の下にテントを張る事にしたんだな。

今日は”グランツァ熱田”くんと”みかえる田中”さんと”ほのか”ちゃんが、岡山県から高知県の桂浜まで応援に駆け付けてくれたんだな。朝食は“みかえる田中”さんが作って来てくれた手作りのおむすびと、まだ温かい豚汁をみんなで桂浜の休憩所に入って食べたんだな。美味かったんだな。久しぶりに栄養のある心のこもった朝食をいただいたんだな。その後、お土産屋さん地帯を抜けて、桂浜に出たオイラ達は、散歩しながら綺麗な石を拾って遊んだんだな。そして、みんなで竜馬像の前で記念撮影をし、“グランツァ熱田”くんから桂浜名物アイスクリンを御馳走になった上に、別 れ際に“みかえる田中”さんから、バナナ・袋チョコ･麦チョコ･饅頭･駄菓子・ジュースの入った袋までもらってしまったのだ。“グランツァ熱田”くん、“みかえる田中”さん、“ほのか”ちゃんありがとう！！なんだか“ほのか”ちゃんに安らぎを与えてもらって、心に余裕ができたんだな。これで、後半の強行日程もがんばれるんだな！
みんなと別れたオイラは、タイムロスを考えて浦戸大橋を通って土佐湾岸線を走るコースを選んだのだが、浦戸大橋はとんでもない橋だった。歩道はオイラの自転車がぎりぎり走れるくらいの広さで、タイヤを乗せていられる幅はわずか１５ｃｍ、まるでジェットコースターを想像させる登りと下りに、左下の風景は、昔、罰ゲームでバンジージャンプをさせられた事を思い出したが、そんな高さも比にならないくらい高いんだな。しかも、強い風が横に吹いているんだな。高所恐怖症じゃないオイラだけど、ここはなるったけ下を見ないようにして１５ｃｍの幅に集中して渡りきったんだな。あー、怖かったんだな！
今日の野営地は室戸岬までもう少しの場所、室戸市吉良川町にあった町営の綺麗な屋根付き休憩所のベンチにするんだな。

グランツァ熱田様・みかえる田中様・ほのかちゃん

今週の出費