明日から出発する為、ボウボウに髪が伸びてしまった頭を散髪しようと、原くんと一緒に宇都宮市内まで行った。３ヵ月ぶりなんだな。そして２人ともサッパリすると、オイラの現在のバッティング能力を確かめに、近くのバッティングセンターに行ってみたが、かなり打てなくなっていた。やっぱりバッティングの筋肉と自転車走の筋肉は違うという事を実感してしまったんだな。
用事を済ませたオイラ達は、帰りに遅い昼食をとろうと和食レストランに入り、今回はオイラがご馳走して原くんの家へ帰った。が、それから大変な事になってしまうとはこの時だれも知る由が無かった。
家へ着き、オイラが使わせてもらっている部屋に入って明日の出発の用意をし始めたところ、目の前がグルグル回り始めたのだ。・・・なんだこれはと上を見ると吐き気がしてきた。・・・乗り物酔いの症状や食中毒の初期症状に似ているが・・・、お腹は痛くない。とにかく頭と胸の奥が気持ち悪く、首の辺りがだるいのだ。仰向きに寝ると吐き気がしてくるので、しばらくうつ伏せで寝ている事にした。・・・いったいどうしたというんだ、オイラの体はどうなってしまったんだ？も、もしやオイラを付け狙う宇宙闇組織の仕業か？などと、ぐるぐる回って苦しい脳みそで考えつつ眠る事にした。いつもの年に１・２回くらいひく微風邪の如く、起きるとさっぱり直っている事を夢見ながら・・・。

朝、目が覚めると昨日の気持悪さがなんとなく直っているような気がしたので、立って見た。・・・すると激な立ち眩みがオイラを襲い、吐き気は少なくなっているものの気持悪さとだるさは直っていなかった。はぁ〜、ぎもぢわるいぃ・・・！今日はほとんど寝て過ごしてしまったんだな。ああ・・・早く走りたい！けど、ぎもぢわるいぃ・・・！
オイラの旅を楽しみにしている方々！本当にすいません。食欲はあるので、ちゃんと食事を取って少しづつは回復してきています。明日・明後日くらいには走れるくらいになると思います。今少しお待ちください。

今日は、昨日より気分が良くなっているがまだ立ち眩みとめまい、吐き気とだるさは完全に直ってないんだな。しかし、また溜まってしまった日記のタイピングと、大阪から沖縄県石垣島までのフェリーを予約してしまう事にした。フェリーは大阪のかもめ埠頭から出ている有村産業のもので、オイラは８月２１日（木）大阪出港〜２３日（土）石垣島入港で予約をとった。雨が降ろうが台風が来ようが、２０日までには大阪に行かなくてはならないのと、明日には居候先の原くんが夏休みを取って岡山に帰省してしまうので、早く体調を戻さないといけないんだな。
オイラの旅を楽しみにしている方々！本当にすいません。発病初期よりは確実に回復していますので、明日から走れると思います。

最後に毒を盛られて（妄想）、闇抵抗組織に行く手を阻まれたオイラだっが、なんとか原くんの帰郷に合わせて出発する事が出来た。原くん長くて短い間だったけど楽しかった。ありがとう・・・。オイラは、忘れかけていた激重な自転車の操作感をじっくりと取り戻しながら、宇都宮市から１２３号線を東へ走り、バイクレースで有名なツインリンクもてぎに少し寄ってから、茨城県の水戸を目指した。そうなんだなあの水戸のご老公様で有名な納豆の聖地なんだな。
ＰＭ９：００頃、オイラは水戸の偕楽園近くにある千波湖を取囲む千波公園にたどり着いた。伝説によると千波湖は、山奥の村に住んでいた大男のダイダラ坊（データラボッチ・ダイダラボッチともいう）が、日陰の原因になって村人が困っていた山を動かした。しかし、そこに出来た穴に水が溜まり、洪水を引き起こしたのでダイダラ坊は指で川を作り下流に水を流した。その下流に出来た沼が千波湖になったという事だそうな・・・。
遅くに着いた事もあり、野営地確保を優先にグルリと湖の周りを回ってみたが、かなりの人数の地元の方々がウォーキングやランニングをしているのであきらめて、水戸駅近くの橋の下で一夜を過ごす事にした。

昨夜訪れた千波公園に戻ってみるとウォーキングやランニングをする人、遊具で戯れる親子達で既に活気に溢れていた。そんな公園の一画に水戸のご老公様像を見つけたオイラは、挨拶をして写 真を取り、「では、助さん格さん参るぞ！かぁっかっかっかっか・・・」と不気味な笑い声を残してその場から走り去ったのであった。
思ったより水戸市内に納豆の告知板が見えない事にショックを受けながら、オイラは太平洋側の国道５１号線を千葉県銚子市へ向けて走った。この道は所々歩道が無いが、鹿嶋市のサッカー場（鹿島アントラーズのホームグラウンド）辺りから綺麗で広い歩道が現れ走りやすくなってくる。地図を見ると近くに鹿島神宮がある事を知った。オイラは寄ってみる事にした。昔、何かで読んだ本に、鹿島神宮には武神が祀られていて有名な剣豪“塚原ト伝（つかはらぼくでん）”がこの地に居たと、弱々しい記憶力が教えてくれた。
鹿島神宮には、地震を起こす大ナマズを抑えているといわれている要石（かなめいし）や、大人が入っても子供が入っても胸までしか水位 が無いといわれる御手洗（みたらし）。そうそう、そこの近くに、タレを塗った団子を炭火で焼いて売っているお土産屋の主人がいっていたのだが、みたらし団子はここが発祥の地らしいのだ。もちろん、そのオリジナルをオイラが食い逃すはずもなく、もちもちっとした食感と甘すぎない濃厚なタレを美味しくいただいたんだな。
そしてオイラはここでも親切な人にめぐり会えた。要石の辺りで偶然声をかけてきた６０歳前後のおじさんは“東さん”といい、オイラに夕飯をご馳走してくれ温泉に入れてくれた上に、今日の野営地“鹿島城址公園”まで連れて行ってくれたのだ。“東さん”本当にありがとうございました。無事ゴールしたあかつきにはお知らせ致します。

古い歴史的な建物と近代的な建物、砂地を利用したメロンやスイカ等の農家や住宅が混在する武道の町“鹿島”を出発したオイラは、銚子にある犬吠岬を目指した。数日中に台風が来ると聞いていたので風は強いだろうと予測はしていたが、よりにもよって向かい風で強風だった。仕方ない、どうしようもないと鳴きながらオイラは強烈な向かい風と砂つぶての中、低速度を保ったまま工業地帯を抜けて利根川を渡り、銚子の街に入いるのであった。
どこか懐かしさを感じさせる銚子の中心街を抜けて、道幅が狭い丘陵地の住宅街を越えると、海水浴場沿いに関東最東端の犬吠岬が見えてくる。ホテルと灯台が建っているだけで最東端の実感はないが、台風が近づいている事と急勾配な丘陵地である事だけは実感出来た。疲れたオイラは、台風の情報を得る為に日帰り温泉ＯＫと書かれたホテルで温泉に入る事にした。
？！・・・、シーズン中とはいえ温泉代がべらぼうに高い！考えたあげく、しかたなく払って温泉に入り台風情報をＴＶで確認したオイラは、九十九里浜方面 に向けてまた強風の中を海岸線伝いに走り出した。
しばらく走った飯岡町の海岸で、風の強さが増してきて暗くなり始めたので、この辺りで台風から待避出来る宿を探そうとキョロキョロしていると、素泊まり２５００円の文字が目に留まった。即断即決！ここで２日くらい泊まって台風をやり過ごそうと入ってみると、日焼けした体格の良いオーナーさんが出て来て、快く泊めていただける事になった。部屋も綺麗だし、安く（２階の部屋なので１泊３０００円）快適に、台風生活を過ごせそうなんだな。

どうやらこの宿は、サーファーでナイスガイなオーナーさんが切り盛りしているサーファーハウスだったんだんな。北海道でいうところの、ライダーハウスの様なものかな！？常連客（オーナーさんのお友達？）のサーファーさんが、飯岡海水浴場にやってくるサーファーや若い海水浴客には安くて自由な宿で有名なんだ、と教えてくれたんだな。
結局、台風が一番接近するのは昼過ぎ頃だと分かったが、すごい風と時折降りつける大粒の雨で外に出る事が出来ない。少しばかり外を歩いてみたが、強風で舞い上がった海砂が砂つぶてとなって襲い掛かって来て、瞬時に砂まみれとなるんだな。オイラもサーファーの方々も、海水浴客と思われる１０数人くらい の女子高生か女子大生の一団も、部屋に閉じこもっているしかなかった。そして、疲れが溜まっていたオイラは、いつの間にか寝てしまっていたんだな。
外に出た時、偶然にあしたのジョーの石像を見つけて分かったのだが、この飯岡町は、あの“あしたのジョー”や“おれは鉄兵”を描いた、オイラのマンガの祖である“ちばてつや”さんが生まれ育った町だったのだ！なんとも運命的なものを感じつつ、やっぱりオイラはひたすら寝るのであった。